大気の熱力学

理想気体の状態方程式

理想気体とは 気体分子自身の体積及び、気体分子間に働く分子間力が無視できる理想的な気体。 状態方程式 … 気体の圧力(p)・体積(V)・質量(m)・絶対温度(T)の関係を表す式。   pV=mRT (1) Rは気体定数といい、気体の種類によって決まる。 高等学校で学習する理想気体の状態方程式   pV=nR*T  (n:気体の物質量)  (2) とは形が異なるが、同じ式である。 R=R*/M(気体定数の定義)、n=m/M という関係を用いれば(1)と(2)は同じ式であることがわかることと思います。 ここで、R*:普遍気体定数(=8314.3JK-1kmol-1)、M:気体の分子量(1molの気体の質量[g]と等しい)である。 また、気体の密度(ρ:単位体積あたりの質量)はρ=m/Vで定義されるから、単位体積(1m3)をもつ気体の状態方程式は、   p=ρRT  (3) と書ける。さらに、比容(α=V/m=1/ρ:単位質量あたりの体積)を用いると、単位質量(1kg)をもつ気体の状態方程式は、   pα=RT  (4) となる。 ここで得られた気体定数を見て高校で化学を勉強したことがある人は疑問を抱くかもしれない。 高校化学で用いられる気体定数は 0.082[atm・l・mol-1・K-1] であり、(2)式のR*(普遍気体定数)にあたる。 しかし、R*=8314.3[JK-1kmol-1]=8.3143[JK-1mol-1] と求められており 0.082 とは異なる。 (ちなみにR*は、273.15K(0℃)・1.013×105Pa(1atm)で1molの気体の体積が22.4×10-3m-3(22.4l)を占めるという事実から求めることができる。) これは単位系の違いによるもので、気象をはじめとする物理の世界ではSI単位系(以前はcgs単位系であったが)と呼ばれる単位系を用いているからである(SI単位系については第0章を参照)。実際、高校の物理の教科書の熱力学の分野で出てくる気体定数は 8.3143[JK-1mol-1] の方である。 また、気象で扱う状態方程式(1,3,4式)の気体定数はその定義(R=R*/M)のために気体の種類(分子量)によって変化しますが気象の世界で単に気体定数と呼ぶときには乾燥空気の気体定数 287[JK-1kg-1] のことをさしていることが多いことに注意してください。(地球大気を乾燥空気に近似して扱うことが多いため) 気象の世界では、0.082 や 8.3143 のような化学や物理の世界では気体定数と呼んでいるものを、この値は扱う気体の種類によらないため、普遍気体定数と呼んで区別している。

(例)乾燥空気の気体定数を求める 乾燥空気の平均分子量は、乾燥空気中の成分の分子量と存在比(分子数比)の積の総和で求めることができ、  Md=28×0.78088+32×0.20949+40×0.0093+44×0.0003=28.95 >窒素     >酸素    >アルゴン  >二酸化炭素 よって、1kgの乾燥空気に対する気体定数 Rd=8314.3/28.95=287[JK-1kg-1]



HANAMI Hitoshi / 平成18年7月6日